ASTR~手技療法の評価と治療~(筋膜リリース・SNAGを含めて)
日時:12月15日(日) 14:00~17:00
会場:全柔協会館4F
講師:松本 不二生(マツモト フジオ)
高野台松本クリニック院長、医学博士、日本整形外科学会専門医
講習会レポート
昨年夏の講習会は台風で中止になった為、満を持しての開催。
まず施術に先立って手技治療が可能であるかどうか急性期か否かの鑑別が必要です。
炎症徴候の有無を発赤(視診)、腫脹(触診)、熱感・痛み(問診)で確認し、腫瘍や感染症などの器質的疾患の心配があるならば適切な紹介先を探します。
急性期でないと判断したら、筋にはASTRや筋膜リリースを、関節にはモビライゼーションを行います。施術のターゲットとなる筋や関節の確定ですが、筋はその短縮の存在を見つけ、関節はその可動域制限を調べます。そして面倒がらずに必ず評価を記録します。
これをやっておかないと効果の確認ができず、次回以降の治療方針もあやふやになってしまいます。先生が臨床で使用している素早い記録方法も教えていただきました。
本講習では前腕橈側手根伸筋をサンプルに筋の短縮を判別します。瘢痕拘縮部を確認した後、筋の両端を近づけ、瘢痕を指で固定しながら関節を開く動きで
ストレッチするのがASTR。当該筋の硬結に術者の手指、ナックル、手根部、時には肘、下腿、膝などで圧迫をかけたままゆっくりと伸長するのが筋膜リリースです。圧迫の方向や、かける体重の移動方法、待つ時間やタイミングはここで記述するのは難しく、受講者にしか解らないものです。
ぜひ講習会に参加し、実際にこの素晴らしい技術を体得してもらいたいものです。
関節面のすべり運動を利用して脊椎分節の離開(牽引)を行うのがSNAG。今回は頸椎に対してのSNAGを教えていただきました。まずこの概念(発想)を知れたことが収穫です。
受講された先生方のこれからの指圧・マッサージ・ストレッチの意識が変わることでしょう。
講師の解説は極めて明解、かつ全てを一切隠さずに開陳していただきました。また、受講者からの質問が、松本先生にとって本施術における過去20年の課題であり、その時間をかけて導き出した解答であっても快く回答してくださったところに、講師の「良い治療法はオープンにすべき」という思いを感じました。
その思いを受けた受講者は目を輝かせて時間いっぱい実習に励みました。