美容と東洋医学~鍼灸美容学~
日時:10月13日(日) 14:00~17:00
会場:全柔協会館4F
講師:王 財源 (オウ ザイゲン)
関西医療大学 教授、関西医療大学付属図書館 館長
講習会レポート
王財源先生は鍼灸美容学の第一人者。
大鍼協の人脈を駆使して初めて講習会講師としてお招きすることができました。
経穴に刺入するのではなく、熱を解き、気を放ち、寒を散らし、気の停滞を解き、気を補い、瘀血を化かすために皮膚表面に接触や摩擦を加える、いわゆる“刮痧法”です。使う道具としては石板や水牛角ではなく、『黄帝内経』霊枢記載の古代九鍼から長鍼、大鍼、毫鍼を除いた六種類の鍼の突起やカーブ形状を利用して気血の聚・散・合・離を行います。刮痧法とはいえ、決して皮下出血を起こすまでの強い摩擦ではなく、また筋肉をほぐすというものでもありません。ここが昨今、流行りの美容ローラーとは決定的に違う点です。意識するのは真皮、絡脈ということになります。我々が臨床でなじんでいるテーピングでも普及当初は関節可動域の制限と筋収縮の補助という使い方だったものが近年では真皮に対する軽微な刺激、整膚といったものに進化してきています。真皮を受容体とした脳へのアプローチは今後さらに理解が深まっていくことでしょう。
顔部における筋肉・皮膚構造の研究は今や医学会ではなく、化粧品メーカーが最も進んでおり、日光・湿度を含めた外的刺激に対する変化・反応のエビデンスもここが一番多く持っています。彼ら曰く「リフトアップと保湿については我々がもう実現させている」とのこと。鍼灸美容は顔面という局所を触る際にも常に全身の健康状態を良好にすることを目的としており、結果として「美」を手に入れるのです。つまり求めるものは同じでも背景となる思想・哲学がいくらか違っていると言えます。
審美六鍼は初回施術時に本人専用の鍼セットを購入してもらうという方法が取れるため、ある種の優越を伴った特別感を持たせると同時に施術離れを防ぎます。また珍しい形の古代鍼を持った人間は必ず他人に見せたくなるので、ケースに描かれた施術所名と連絡先が自然で有効な宣伝手段になることは間違いないでしょう。