【報告】9/8 上腹部(胃・肝・胆・膵)疾患に対する鍼灸マッサージ療法

~上腹部の診方・触り方と遠隔による鍼灸療法~について

日時:9月8日(日) 14:00~17:00
会場:全柔協会館4F
講師:松浦 英世 (まつうら ひでよ)
松浦鍼灸大学堂 前院長、関西運動器障害研究会(KATA)名誉会長

講習会レポート

来院された患者さんの主訴をとることは一番大事なことですが、
その際並行して、「ぜひ積極的に内臓の不調も診てみましょう。
そうすればあらゆる面で良いことがありますよ。」という提言にもなっているのが今回の講習です。
講師はスポーツトレーナー、日々の臨床、鍼灸学校の教師を長年にわたって経験しており、
教科書に書かれたものと実践的な取穴法の違いを熟知しています。内容がすべて書かれたレジュメと共にその技術を公開してくださいました。

日本では現状、我々のもとを訪れる患者さんの訴えは圧倒的に運動器疾患です。
内臓の不調を治してもらいたいと鍼灸を求めて来られる方は今や教養ある通(ツウ)の方たち一握りのみと言えます。ではこの通の方々はなぜ鍼灸が内臓疾患にも効くと知っているのか。それはおばあちゃんがそう言ってたなどというのも含めて本人、あるいは家族などの近しい人が実際に治してもらった経験があるからなのです。運動器疾患で来院された患者さんの主訴をとってやることはもちろんですが、それだけでは不十分。

主訴以外の治療に踏み込むことはおせっかいではなく親切だと言えます。慢性的な長期にわたる運動器疾患は高い確率で内臓の不調との関連があるのです。
それらを探り出し軽減してやることで主訴であった運動器疾患の成績も上がります。またこの関連を患者に解説し実際に治療して見せることは、施術者に対する信頼を格段にアップさせることでしょう。

今回の講習ではタイトルの範囲を超えて時間一杯、下腹部まで実際の取穴からひびきの方向と種類、マッサージ方法まで臨床での実話を交えながら教えていただきました。弟子入りでもしなければ到底得られない経験ができたことは非常にラッキーなことです。これは、つい講習内容をサービスしたくなるような講師との良い関係を築いている大鍼協学術講習会ならではのメリットだと思いました。