■2012.4

いつも組合の運営にご協力いただきましてありがとうございます。

春といえば、選抜高校野球。私は、昨年と今年の宣誓に感動しました。昨年は「宣誓、私たちは16年前、阪神淡路大震災の年に生まれました。今、東日本大震災で多くの尊い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです。被災地ではすべての方々が一丸となり、仲間とともに頑張っておられます。人は、仲間に支えられることで大きな困難を乗り越えることができると信じています。私たちに今できること、それはこの大会を精いっぱい元気を出して戦うことです。がんばろう! 日本。生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います」。

今年は、「日本が一つになりその苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう。日本の底力、絆を」と、力強く選手宣誓しました。高校球児はしっかりしていますね。とても素晴らしい宣誓で感動して泣けてきました……。

そして、第84回選抜高校野球大会の頂点に立ったのは大阪府大東市の大阪桐蔭高校。初優勝を飾りました。よく頑張った、おめでとう。

ところで、今年6月に療養費の改定があります。療養費の将来は決して楽な道ではありません。大鍼協ニュースでお知らせしているように、償還払いの保険者は増えています。

償還払いとは、患者さんが窓口で療養費の全額を一旦支払い、その後患者さん自身が加入する保険者に支払った額を請求し、一部負担額を除いた額を還付してもらう方法です。最終的な費用負担は同じですが、「償還払い」だと患者さんが一旦費用の全額を支払う必要があります。

今、償還払いは保険者の中でブームのように増えてきています。それはなぜか? 『委任払いをやめ、償還払いにすると療養費の請求がなくなる』と思っているのです。つまり、保険の支払い額を抑制するには、請求内容の点検や照会などをするより償還払いに戻す方が、保険者にとって合法的でより簡単になしえるからです。それを許してはなりません。保険を取扱っていきましょう。そのためには患者さんの理解を得るための説明などが当然必要になってきます。すべての保険者が償還払いになったら……。

私たちも高校球児を見習って、今できることに全力を注ぎましょう。

今後とも組合の運営にご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。

■2012.1

組合員の皆様におかれましてはご健勝にて新年を迎えられたことと、お慶び申し上げます。

2011年3月11日に起こった東日本大震災は、東北地方の破壊ということだけではなく、現在から当たり前と思いその延長線上にあったはずの未来を、いとも簡単に壊してしまいました。映像を見て、既存の価値観との決別を印象付けられたものでした。

新しい年を迎え、“新年”ということの意味をこれまでになく考えています。今年こそは平穏な一年であることを祈るばかりです。「日本を再生させよう」、「活力のある日本を」という掛け声は何年も前から聞こえてきます。そしてそのためにいろいろな政策が行われましたが、その効果はあまりありませんでした。財政政策も金融緩和も大きな効果を発揮しませんでした。首相は毎年交代、消費者相は2年半で9人の交代とか、これで大丈夫でしょうか。

そんな中、社会保障と税の一体改革と称して、政府は消費税増税と同時に所得税の最高税率も引き上げるつもりらしいです。そうなれば所得税最高税率が世界一高いスウェーデンとほぼ同じ重税国家となってしまいます。それだけじゃなく、官僚公務員が企業救済をする部門にいながら、その株を買いインサイダー取引をして逮捕されたとか。うーん、改革をして活性化させるためには、そして不公平感を取り除くというなら官僚公務員制度改革こそが必要ですね。

今年は療養費料金改定の年です。世の中の現状を見る限りプラス改定にはならないでしょう。今、料金改定の議論の中には、柔整師ましてや鍼灸マッサージ師も入っていません。鍼灸マッサージについて全く知らないメンバーにより、療養費が議論されることとなります。われわれの声が届くことはありません。この現実をいいことだと思う同朋はいないでしょう。療養費は今、向かい風の真っ只中にいます。いわれのないバッシングや、過激で過剰な調査などに屈することなく、業界、業友を守ることが重要であると考えます。そのためには、数が多くなったからという数の理論でなく、組合員諸兄が一致団結し反省すべきは真摯に反省し、主張すべきは真正面から立ち向かっていく姿勢が必要です。昨年、大鍼協は複数の保険者と組合員諸兄の疑義を晴らすべく面談をさせていただき、なんとか大きな問題にはならず事なきを得ました。

今年は昨年以上に、過剰な調査など、いろいろな問題が滲出してくると考えられます。「真摯な姿勢と誠実な対応」を忘れることなく、業界、業友を守ること、そして社会から認知され、信頼され、継続して存続しうる協同組合になることを目指して本年も邁進します。

■2011.10

いつも組合運営にご協力いただきまして誠にありがとうございます。

先日、午前診のあとに治療所を出ると芳しい香りが……。キンモクセイです。暑い夏も終わり、秋だなぁと実感しました。

今年の回想はまだ早いかもしれませんが、新燃岳の噴火に始まり、東日本大震災と津波、全国各地での集中豪雨など、多くの災害が発生した年でした。科学がいくら発達しても、こういった災害を食い止めることはできないようです。

和歌山の記録的豪雨では、3つの治水ダムが下流の被害を防ぐという本来の機能を失いました。100年に一度の大雨に対応できず、満杯になり放流したため下流の被害を防げませんでした。とすれば、大金を使ってダムを作る意味はどこにあるのでしょう。

大金といえば、医療費高騰の問題です。2007年度の統計では34兆1360億円でしたが、2009年度は36兆67億円だったとか。2年で2兆円近くも増加したのです。医師にかかった医療費がその大半を占めているはずですが、増加した金額すべてが鍼灸師や柔道整復師が取り扱う療養費だと言わんばかりに、保険者が調査という名目で患者照会や医師への照会を強化しています。進む高齢化と高度医療技術の進歩、この2つが医療費を押し上げているのではないでしょうか。

ところで、皆さん「タバコは危険です」、「肥満はよくないです」、「生活習慣病に気をつけましょう」、「適度に運動しましょう」と言われても、あまり疑問に思う人はいないのではないでしょうか。10月4日の朝日新聞の天声人語に『「今日も元気だ、タバコがうまい」から濁点を1つ取ると「今日も元気だ、タバコ買うまい」に早変わりする』とありました。タバコは健康によくないということですね。健康に生きることはいいことです。

働き盛りのときに死なれては国としても家族としても不幸です。しかし、健康な人は長生きするので、最終的には医療費のコストが高くなるようです。長生きすればするほど、介護などの費用も当然かかります。医療費のことのみを考えたら、タバコをスパスパ吸い、酒をぐいぐい飲み、夜遅く寝て、油っこいものや辛いものを好んで食べ、健康診断も受けず、やれるだけの仕事をし、とっとと死を迎えるのが正しい生き方となるかもしれませんね。健康に生きるためにタバコやお酒をやめ、運動などに精を出している人は、実は国の医療費を増大させている犯人なのかもしれません。

いやいや、少しばかり過激でした。ところで、この4月から10月までの間に大阪府では14名もの柔道整復師が5年間の受領委任取扱い中止処分を受けたそうですが、鍼灸マッサージの療養費も同じく厳しく調べられていますよ。組合員の皆さん、正しい保険請求をしましょう。

 

■2011.7

急に暑くなったと思いきや、平年より13日も早く梅雨が明けました。暑さの中、組合員諸兄はいかがお過ごしでしょうか。

暑さで食欲を落とされていませんか。今の時期、食中毒にはご注意ください。5月に激安焼肉チェーン「焼肉酒家えびす」のユッケで食中毒が発生しましたね。記憶されていますか? なんと死者4人、重症者20数人だとか。原因はユッケの生肉に含まれていた腸管出血性大腸菌「O-111」や「O-157」だといわれています。

昔、「生肉は食べるな」といわれていたように記憶していますが、そういえば私もいつからか「ユッケ」を食べるようになっています。なんで食べだしたのだろうか……。食べだすと結構うまいし、ビールにも合うんですよね。

何年か前、菅総理が厚生労働大臣のころ、「かいわれ大根」がO-157の犯人扱いされ、試食されていた光景を思い出しますね。

この時期、怖いものは菌だけではありません。養殖ヒラメと馬肉は、食中毒の原因となる寄生虫がいなくて刺身で食べられるとされてきました。ところが調査の結果、養殖ヒラメからは「クドア・セプテンプンクタータ」、馬肉からは「ザルコシスティス・フェアリー」という寄生虫が発見されたそうです。ちなみに馬肉はすべて外国産馬だそうです。その他、寄生虫といえば、カツオ、マグロ、イカ、アジ等々……、挙げたら切りがありません。まあ、生の食材には、菌や寄生虫はつきものであるという認識が必要でしょう。

生はだめでも、煮込んだものなら安全だろうと思いますよね。この暑い時期、煮込んで2、3日ぐらい経った辛くて熟成されたカレーを、汗をかきかき食べるのはおいしいですよね。ところが、2、3日経ち熟成されたカレーにはウェルシュ菌が潜んでいる可能性があります。この菌は人や動物の腸管、土壌、水中など自然界に広く分布し、酸素を嫌うボツリヌスと同じ嫌気性菌だそうです。また、熱に強く、高温でも死滅せずに生き残るらしく、「加熱したから大丈夫」は通用しないとのこと。必要以上に神経質になる必要はないと思いますが、調理をしたら早く食べることが大切ということでしょうか。

夏の花といえば、向日葵(ひまわり)ですかね。花が太陽の動きについてまわることから、「日回り」と書かれることもあるとか。種は食用や油を採るため、花は観賞用に栽培されています。今、ひまわりは放射性物質を吸収することで注目を浴びています。ひまわりの根はセシウム137を、花はストロンチウム90を蓄積することがわかったそうです。

土壌を浄化するひまわりのように、明るい未来に向かって、太陽に向かってわたしたちも。

■2011.4

3月11日の東北地方太平洋沖地震と津波において被災された皆さまに対し、心からお見舞い申し上げます。失われた多くの尊い命に深いお悔やみを申し上げるとともに、行方不明となられている皆さまの一刻も早い救助と、被害に遭われたすべての方が救援され、地域も含めて一日も早い復旧、そして復興することを心よりお祈りしております。

阪神淡路大震災の比ではない何倍、何十倍、いや何百倍もの破壊力、多くの建物がその地震の揺れには耐えましたが、津波には無力でした。
スマトラ沖地震の時の津波をテレビで見てすごいものだと理解はしていましたが、今回のものは、10メートルの高さの防波堤を超え、最大では30メートル以上でした。

梅の花が咲き、菜の花が咲き、桜がと思っていた矢先、あのすさまじい津波が人や街、車を呑み込んでしまいました。年度が変わるこの時期に、子どもたちは登校を楽しみにランドセルも用意していただろうに。巣立っていく者も避難所での卒業式、卒業式ができるのはまだましです。

テレビはどのチャンネルも震災の実況中継ばかり。あまりの悲惨さにこちらも気分的に鬱になってしまうほどの状況です。

また、テレビを見ていて、報道姿勢に問題はなかったのかなと思います。記者が現場に行けるのなら、一緒に物資も運べなかったかなと。震災報道を見ていると、どれだけ悲惨な状況かを伝える合戦のように見えます。マスコミのヘリが飛び交う中、救助を待つ人、救援物資を待つ人の心情とはどんなものでしょうか。こういうときマスコミは、競うのではなく結束してすべて同じ報道にし、情報の質を高めるようにしてほしいものですね。

数万の死者と安否不明、そして出口の見えない原子力発電所の事故。人は何もないときはその有効性を享受し、何か事が起こると諸悪の根源のように話をします。この問題はいろいろな考え方があると思いますが、“想定外だった”と逃げないような規模で安全を担保してほしいものです。

このところ少しはマシになってきましたが、過剰な自粛ムードもいかがなものでしょうか。経済を活気づかせることが復興への近道ではないでしょうか。被災地を応援するために、無事な地域が元気を出さなければなりません。

世界の国々や世界の著名人、いや一般の人々も日本のために何かできないか、考えてくれています。日本は世界の嫌われものかと思っていましたが、そうでもないみたいでなんだか嬉しいです。無慈悲で無秩序な津波の仕打ち、それは弱い人間に課せられた天の試練ととらえ、それに立ち向かえるものは日本人の団結力だと思います。

がんばろう日本、負けるな日本、つなげる想い、つながる希望、明日は今日より素晴らしい。

■2011.1

新年明けましておめでとうございます

組合員の皆様におかれましてはご健勝にて新年を迎えられたことと、お慶び申し上げます。

昨年の暮れに清水寺で発表された、その年の世相を表す漢字は「暑」でした。理由は、記録的な猛暑による野菜の高騰や、暑さにより熱中症になるという健康被害が出たこと、チリ鉱山の「暑い」地中からの生還、また突入温度1万度という「暑さ」に耐え帰還した「はやぶさ」などによるものだそうです。

今年は卯年です。卯年は跳ね上がるとの格言どおり、今年のニューヨーク株式市況は2年半ぶりの高値となったそうです。また東京株式市況も昨年末より少し高値です。市況の好転は機敏で利発そうな卯年効果の一つでしょう。

今年は、私個人が年男であると同時に、大鍼協も今年で10年の節目の年を迎えます。平成13年に大阪府知事から認可をいただいてスタートし、今や組合員数は500名。1カ月のレセプト枚数は1万枚を超えています。

不況だから弱い者同士集まろうということなのか、不況だから療養費の保険取り扱いをと願う人が増えたのか、他の会がさぼっていたのか、それは分かりません。しかし、増えたからといって喜んでばかりもいられません。それだけ問題も増加します。

組合員が多いから組合が強くなるのではなく、多くの組合員が一つの方向を見据えて行動する、それが大切なことだと考えています。これからも、日々発生する問題などに是々非々で対応し、組合員の皆様をお守りできるよう頑張ってまいります。

「素敵な未来を見てほしい」という桑田佳祐さんの歌に“♪素敵な未来を見てほしい 同じ時代を生きるあなたへ 互いに素顔のままでいい 不安だらけの世の中だけど 見えない翼を広げたい 明日未来へ羽ばたくために♪”……という歌詞がありました。「明日は今日より素晴らしい」。朝、目が開いたら幸せになるのではなくて、幸せになるように、よくなるように努力をすることだと思います。一緒に手を取り合い頑張っていきましょう。

最後になりましたが、新年にあたり組合員の皆様のご健康とご多幸をお祈りいたしますと共に、当組合への一層のご指導とご鞭撻をお願い申し上げ、年頭の挨拶といたします。

■2010.10

寒い冬に向けて入念な対策を

今年の夏は、暑かったです。どうしてこんなに暑いんだと腹立たしさを覚えましたね。「この113年間で最も暑い夏」「30年に1度の異常気象」だそうで、記録にも記憶にも残りそうです。この猛暑の影響で秋の花の開花が遅れ、各地の行楽地に影響が広がっています。厳しい残暑は収まったものの、花は思うように咲いてくれず、鉄道の行楽用臨時ダイヤが空振りになったり、花のない「コスモスまつり」となったケースもあるようです。ここにきて開花が遅れていたヒガンバナがようやく見ごろを迎え、黄金色に染まる田の間を鮮やかな赤色に染めていますね。ヒガンバナの別名は「葉見ず花見ず」。花が枯れてから葉が現れる珍しい花だからだそうです。花言葉は「また会う日を楽しみに」。
 
気象庁が9月?来年2月の長期予報を発表しました。12月は寒気が強まり、過去10年に比べてやや寒い冬になるとみています。やれやれ今度は寒い冬かいな? 寒いといえば我々の業界も、しばしば寒さを感じますね。そんな時には、組合として粘り強く交渉するなどして、寒さを跳ね返しています。
 
さて、ご存じのように、健康保険組合とは従業員数700人以上の企業や、3,000人以上で構成される企業グループ・同業同種の企業で組合健保を運営する組織です。ピーク時には1,823組合ありましたが、現在は 1,462組合で年々その数は減少しています。健保組合の9割は赤字だとのことで、運営が困難なため解散が相次いでいます。そんな中、パナソニック健保組合から鍼灸マッサージを償還払いにするとの通知がありました。現在、健保組合で鍼灸マッサージを償還払いに移行した組合は171 組合。このまま見逃せば、追随する組合が増えるでしょう。通知を甘んじて受けるだけでなく、組合として償還払い移行に対しての対抗策を講じ、ひいては交渉にまで繋がればと思っています。これからも、大鍼協は鍼灸マッサージ師を守るため努力を続けます。
 
今後とも協同組合運営にご協力よろしくお願いいたします。

■2010.7

もらった勇気 次は我々の力に

時の流れは確実でまた早いものですね、もう早や7月号です。新年のご挨拶で「はやぶさ」という惑星探査機のことを書かせていただきました。その「はやぶさ」が地球から3億km離れた小惑星「イトカワ」を探査し、2010年6月13日に還ってきました。そう聞いただけでこの日を特別な日と考える人たちがいます。「はやぶさ」の帰還は凄い。何が凄いって、史上初をいくつも実現したという「はやぶさ」の実績だけでなく、次々と起きた前例のないトラブルを乗り越えた日本の宇宙機運用技術の手腕も凄い。そして、それに応えた「はやぶさ」は、何かもう意思があって、プロジェクトメンバーの熱意を汲み取っているとしか思えないような挙動の数々、うーん凄い。 
地球以外の天体から物質を採取する計画は、NASAによる月探査や彗星の尾からの試料採取に続くものらしいですが、動力航行で目的の天体に到達し、着陸・試料採取・離陸を自律的に行い、さらに地球まで戻ってきて所定の地域にサンプル採取容器を送り届けるなどという偉業を達成できたのは「はやぶさ」が世界初なのです。その興奮が冷めやらぬとき、その偉業と同じほどの大きな出来事で、日本中が沸きかえりました。

それはもう一つの「はやぶさ」、岡田武史監督率いるサッカー日本代表が6月14日、ワールドカップ南アフリカ大会1次リーグ初戦でカメルーンと対戦。1トップで起用された本田選手が前半39分に先制点を挙げて1─0で競り勝ち、自国開催以外のワールドカップで念願の初勝利をおさめたのです。

その後、パラグアイと延長戦にまでもつれ込む死闘の末、PK戦で敗れ、ベスト8の夢はついえました。しかし、体格で劣ろうが、激しく動き、ひたむきにゴールを目指し、たびたびの円陣を組んでのチームワークが素晴らしかったです。仲間同士が肩を抱き、多くのものがほほを濡らし、こみ上げる思いは深夜の列島まで濡らしました。

底の見えない経済の状況に、右肩上がりの昭和を懐かしんでいる伏し目がちの日本人にとって、この2つの大きな出来事は世界を驚かせ、燃え尽きてまでなお、我々に勇気と希望を与えてくれました。何事にも熱しやすく、忘れやすく、ぶれやすい国民性ですが、ズーッと心に刻んでおきたいものです。

■2010.4

春植えざれば秋実らず花咲く春にあう

ちょっと前に、年頭雑感を書かせてもらったと思いきや、もう早4月号です。時の流れは確実でまた早いものですね。今頃の時期は、冬の寒気と春の暖気がぶつかり合って、思わぬ嵐を各地にもたらします。彼岸過ぎに冬かと思われる寒さと突風が吹き荒れました。春突風、春疾風(はやて)、彼岸荒れ……、春の嵐を表す言葉は多彩です。春には、啓蟄、如月、弥生、春暁、春の朝、春昼、春の暮、春の宵、暖か、麗か、長閑、日永、遅日、花冷え、木の芽時、花時という言葉がありますが、春の本性は元来荒々しいものなのかもしれません。季節は着実に移りつつあります。今は春を充分に味わうことにしましょう。

車で走行中、道沿いのあちらこちらで桜の花が咲いているのを見かけました。春の盛りのけだるさとともに、春が来たなと実感しています。日本人は桜が大好きです。桜が咲き、そして散る。ただそれだけのことに、他の花にもあることなのに、その在りさまを表す日本語は実に豊かです。花の雲、花吹雪、遅桜に行く春を惜しむ……などなど。かくも多彩に移ろいが表される花は、他にないでしょう。

この花が咲くと、指折り数えて待ちに待った春の訪れ。専門学校でも、われわれの後輩の卒業と入学の時期です。新年度、卒業し希望にあふれ新しい生活に入った新人、ほどなくさまざまな難題にぶつかることでしょう。われわれの業界を取り巻く厳しい現実を目の当たりにすることでしょう。そのとき、どういう方向を選ぶべきかで悩むことがあると思います。決断の当否がその後の人生を左右するかもしれません。苦難に負けず乗り越えていってほしい、業界のために、いや、まずもって自分のために。われわれもエールを送りたい。そして、その受け皿に当組合はなりたいと思います。

さあ、本格的な春到来、何をするにも持ってこい。組合員の皆さんはどのような春をお過ごしでしょうか……。

■2010.1

年 頭 雑 感

2000-2009年の波乱と恐怖に満ちた年代は終わりました。新自由主義、原理主義、ネット社会、これらの流れがこれまでの共同体を破壊しました。特に昨年はアメリカの金融危機に続き日本経済も失速しました。そして節目の2010年代のはじまりです。しかし、社会に渦巻く波乱や混迷、恐怖は続いています。それだけでなく、これから日本の景気は二番底が大きな黒い口を開けているとの話もあります。そんな話はもううんざりです。それよりもっとスケールの大きな、夢のある話をしたいと思います。

組合員のみなさんは「はやぶさ」という惑星探査機をご存知ですか。「はやぶさ」は、地球から3億km離れた小惑星「イトカワ」を探査し、タッチダウンしてサンプルを持ち帰るという目的で種子島から2003年5月9日に打ち上げられました。その目標の小惑星「イトカワ」は長径500m、短径200mしかない殻つきピーナッツのような形だそうです。私ぐらいの年代の方ならば「ひょっこりひょうたん島」と聞けばピンとくるのではないでしょうか。「はやぶさ」は、イオンエンジンの推進力と地球の公転の力を利用した「地球スウィングバイ」を使って加速し「イトカワ」まで飛行し、タッチダウンして現在は地球帰還に向けて飛行しています。全飛行距離は優に20億kmで、今年の6月にオーストラリアに戻ってくるそうです。

私は、「はやぶさ」に感動しました。そして、それを制御している日本の技術も素晴らしいじゃないですか。ハイブリッド・カーも日本仕様が国際仕様になりつつあり、日本の技術は最先端といえます。「自信を持とうよ日本人、そうすりゃ経済も回復するゼヨ!」
私たちは今、何かが変化しつつあると感じています。NHKテレビでは昨年末、明治時代の人たちが、また国全体が欧米諸国に追いつこうと近代化の実現に突き進んだ様子を描いた『坂の上の雲』が、そして今年は『龍馬伝』が放映されています。明治維新の時代は変革へと舵を切り、希望と活気にあふれた時代であったと思われます。今の時代はそのころとは違い、社会は複雑化し多様な価値観が渦巻いています。おそらく現代人はその時代に比べて、夢や希望、活気や元気が少ないのではないでしょうか。それでも「右肩上がりでなくてもいいじゃないか。何とか飯は食えるし。デフレで物が安くなっているし、考えようによっては良い時代かも知れないじゃないか」と、少しでも気力や元気さでは負けないようにしたいものです。

「友人は車を買った、海外旅行に行った」それもよし。人は人、自分は自分です。友人に嫉妬心やライバル意識を持つのもいい、劣等感を持つのもいい、考え方を変えればそれは向上する意欲がまだあるということです。深く潜れば、大きな浮力を持つのと同じ原理ではないでしょうか。

先日、新聞にニーチェの言葉がありました。 「汝の立つところを深く掘れ、そこから泉が湧くであろう」
今年も、組合運営にご協力いただきますようお願いします。